【美女】海賊の島に生まれた戦乙女！瀬戸内のジャンヌダルクといわれた18歳の少女とは

小説「海と女と鎧 瀬戸内のジャンヌ・ダルク（1966年）」の発表と同時に知名度を獲得しました。

一方、小説の発表まで鶴姫の存在は地元民も認知しておらず、実在したかどうかは現在も不明。

鶴姫が生まれたのは、現在のしまなみ海道を結ぶ島々のひとつ「大三島」。

宣教師ルイス・フロイスが日本最大の海賊と記した村上海賊の支配した島のひとつでもあります。

そんな海賊の島に生まれた鶴姫は、大山祇神社（大三島）の住職と同社の女中である両親のもとで育てられました。

鶴姫は生まれた頃から端正な顔立ちで、成長すると男子を圧倒する勇敢な性格と高い運動神経を備え、島民の間で明神（神）様の生まれ変わりと囃される存在に。

当時は戦国時代最盛期でしたが、日本列島から別離した大三島は比較的に平穏な日々が続いていました。

しかし、1541年に突如として大三島が襲撃されます。

中国地方で絶大な権力を有する大内義隆の配下・白井縫殿助房胤が瀬戸内海の覇権を奪おうと大三島に攻撃を開始したためです。

この侵攻で大三島は絶大な被害を被り、多くの人が亡くなったといわれています。

明神を守護するために出陣した鶴姫の次兄も戦死しました。

芳しくない戦況を知った鶴姫は明神（大山祇神社や神様）を守るため、出陣することを決意。

甲冑を装備して馬に跨り、大薙刀を振り回しながら戦場の最前線に飛び込んで次兄の代わりに味方を奮起させました。

その後は自ら遊女に扮装して敵陣へ潜り込み、油断している敵将を捕えて敵組織を撤退させるなど男顔負けの戦果を残しています。

1541年の戦い後、鶴姫は戦死した次兄の家臣・越智安成と恋仲へ発展。

二人は恋人であり、共に戦場を生き抜いた戦友として仲睦まじく互いを支え合いました。

一方その頃、大内義隆は用意した配下が素人娘に敗走したことを知り怒り心頭。

最大勢力を用意し、瀬戸内海の覇権を握るべく再び大三島への侵攻を開始したのです。

そして、再び戦火に襲われた大三島。鶴姫は全勢力を持って対峙しますが、戦況を覆すほどの戦力が島には存在しません。

次第に追い詰められ、自身の恋人・越智安成も戦死。これ以上の抵抗が無駄であることを悟った鶴姫は投降と和解を決断し、最後に一矢報いるため、少ない残党で夜襲を仕掛けて大内軍の一部を撃退しました。

終戦後の鶴姫には諸説ありますが、通説では三島明神に参拝してから入水自殺（入水伝説）を図ったとされています。

当時18歳の少女には、あまりにも早すぎる死でした。

愛媛県今治市と広島県尾道市を結ぶ「しまなみ海道」が通る島のひとつ大三島には、日本最大の国宝数を有する「大山祇神社」があるほか、鶴姫の入水伝説を記録した記念像が設置されています。このほか同島には、もうすぐ52周年を迎える「伯方の塩」の見学可能な工場もあるため、歴史スポットと一緒に訪れて大三島の塩文化について学んでみるのもおすすめです。